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儚雪

近いところで、でも遠くて。
そんな街の風景や通り過ぎる人々は。
今夜という日の冬の冷たさを忘れさせてくれる。
でもそれだけで。
私は一人だから、今夜という日からは逸れていて。
口から吐いた息だけがとても白くて。
まるで私の心の象徴のように。
それは空へと昇って行った。
今日という日のために町は着飾って。
全てを柔らかな雰囲気で包み込む。
仲でも一番着飾っていて目立ちたがりなモミの木は。
公園の中心で静かに今日を見守っていた。
植物の名前にはあんまり詳しくは無いけれど。
クリスマスツリーくらい、私だって知ってるよ。
ベンチに腰掛け、モミの木の膝元で。
騒がしい中に流れる音楽を聴いた。
私の目の前を何人もの人々が通り過ぎる。
あるいは恋人。
あるいは家族。
とても大切な人に違いない。
今の私にはないもの。
一人で。
十秒か、一分か。はたまた一時間か。
ふと頬に冷たい感触が広がった。
右手でそっと触れる。
雨だと思った。
しかし、空を仰ぎ見ると。
それはとても美しくて。
とても儚くて。
一瞬のものだったけど。
儚雪
約束の日に思い出す。
すでに会えない彼のことを。
気づかず流した涙が零れて。
雪と一緒に地面に消えた。



詩:霜月ひろ

一番最初の、そして秋の後を描いた詩です。
大好きな人、そして儚い時間。
大切なものに想いを馳せる彼女。
その心を想像して読んでみてください。


絵:沙紀

詩の中の雪が降っている街の中で、
大切な人を思い出しているシーンをイメージしました。