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トリックスター


 この島に来てから早いもので二年の月日がたった。
 ずっと身につけてきた耳飾りと尻尾は、丁寧に扱っては来たけど、もう年期を感じさせる。何度も洗濯したせいか、最初の頃のふさふさ柔らかな感じは、もうしない。
 あの世紀の大富豪、ドン・ガバリアの遺産の眠るガバリア島。
 探し出すのは自由とは、まったくどこかの宝島みたいだ。隠されているのは海賊の遺産じゃないけれど。
 それにこの島の不思議なルール……耳と尻尾、動物の変装をしてのみ、入島をゆるされる……
 名目はテーマパーク。でも、こんなものどうやって作ったのか。事実、ガバリアの息子、御曹司でもあるジュバンニを始めとして係員とおぼしき人々はいるが、でもここでの生活をしていくうちに、彼らも参加者なんじゃないかって思えるようになった。
 みんな参加者なんじゃないだろうかって。この一つの島をまるまる使った壮大な宝探しのストーリーのね。
 沢山の友達と知り合った。同じような格闘家の牛さんに、少し不思議な雰囲気をもつ龍のお兄さん。知識の豊富なカッコイい狐のお姉さんに、少し天然な、すごくかわいい羊のお姉ちゃん。アライグマに見えないエセ教師も、この島では一人のプレイヤーだし、勉強云々言わないからすっごく助かってる。
 それに明るくて凄く綺麗で、一番のお友達のキャットちゃん。いままでにいっぱい一緒に遊んで、冒険して。

 だから、ここがただのテーマパークじゃないってわかるんだ。
 人のお願いを聞いたり、たくさんの街を歩いていくうちに、不思議な出来事も、危ない出来事だってあった。
 怖い恐ろしいモンスター、突然に現れた彼らは、いろいろと暴れたり壊したり。
 そのために、ロビンのお兄ちゃんやハンターマスターのお姉さんはいつも忙しそう。なんどかお手伝いもしたけど、失敗して大怪我をしちゃったことも……うん、あるよ。
 これもガバリアの遺産?それとも何かこの島に起こっているの?
 私にはまだわからないことがたくさんある。
 だから私は帰らない。
 何か、わかりそうなんだ。
 突然に現れた地図にない島。
 大きな鎌をもった、メッセンジャーとよばれた人達。
 彼(彼女?)は私のことをトリックスターって呼んだ。
 いったいなんなんだろう?よくわからない。その時、私が聞き返しても、メッセンジャーはなにも答えなかった。
 でも。
 もう少し。もう少しで何か分かりそうなんだ。
 最近、私がこの島に来たのは偶然じゃ無かったんじゃないかって、思うようになった。きっと、この島に来たことも、みんなに会えたことも、必然だったんじゃないかって。
 「うさこ〜?置いてくわよ〜?」
 家の玄関口でキャットちゃんの声がした。
 「いまいくよ〜」
 そう答えて。私は二年間愛用のうさぎの耳飾りと尻尾を身につけた。最初の頃の恥ずかしさはもうない。
 片手に愛用のリュックサックを引いて、私は今日も出かける。
 みんながいれば、どんな必然も最高に思えるから。
 さぁいこう。楽しい日々と―――この島の謎を解き明かしに。










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